MR94は白色にしました。828を改造し、いまさらという感じではございますがALTEC社のイメージカラーのつもりです。白と緑色のコントラストがペパーミントのガムのように爽やか…なはず。という訳でめでたく白ホーンシステム誕生と相成りました。今回使用したペンキは、アサヒペンの水性インテリアカラーのピュアホワイトとヨーロピアングリーン。どちらもツヤ消しタイプ。塗膜はべとつかずサラッとした仕上がり。乾いてゆくと刷毛ムラが消えてゆくという不思議な塗料でした。少し水で薄めると塗りやすいです。ピュアホワイトは白壁のような白。それからヨーロピアングリーンは、光の加減で緑の深さが変わります。
46cmウーファーはPeavey社のLoMax18にしました。当初、黄色いホーンシステムや2色ホーンシステムで使用している同社のLowRider18を予定していたものの、サウンドハウスの在庫が1本だけ。同じユニットばかり使っていても仕方ないよね、と変更しました。ところで、828の改造はなかなか大変でした。2つの828(おそらく828B)は、背板に表示されていた製造番号から見て、全く同時期に製造されたものだと思います。ところが、工作精度が非常に低く、左右の箱で内部における寸法が2~3mm程度異なります。このため板取りや隙間の修正作業にかなり時間がかかってしまいました。
この828はホールで使用されていたそうです。吊り下げ用の金具を取り付けるための穴があちこちに空けてあったり、角部分が欠けていたりと、歴戦の傷跡が多数。これはセメダインの穴うめパテを使用し補修しました。このパテ、補修箇所になすりつけ、指にくっつかなくなってから形を整えるようにすると非常にうまくいきます。加工も耐水ペーパーで簡単に削れます。おかげで828は新品のように綺麗に仕上がりました。
白ホーンシステムを駆動するアンプは、マランツ社のAVアンプ、PS3001です。定価は約4万円。販売終了直後のためか2万5千円でした。60W(8Ω負荷)のアンプが7CH分搭載されています。PS3001は、サラウンドとサラウンドバックのスピーカー設定をデフォルトのスモールからラージへ変更しました。CDプレーヤーは、SONY社のDVDプレーヤー、DVP-NS53P。これは7千円ぐらい。そして、5台目となるDCX2496も購入しました。接続は2色ホーンシステムと同様、D3C01-SRとBCJ-XP-TRBを介してのデジタル入力です。なお、DCX2496の下にあるSH-D1000は、同じ部屋にある電子ピアノシステム用です。
828の上にMR94をのっけると、高さ175cm。なかなか立派です。この白ホーンシステムを配置するために、本棚等の家具を処分したりの大掃除。カーテンもカーペットも新調しました。おかげで部屋の雰囲気が明るくなり、大型スピーカーを搬入したにもかかわらず、以前よりも広く感じます。そして、2008年11月26日、面倒な配線作業を終え、ようやく音出しにこぎ着けました。罪深き828の改造、それに安価なAVアンプ。でも、その程度のことで伝統のALTECサウンドが失われるはずはありませんよね…
イコライジング等の小細工をせずに音出ししてみると、分厚い中低域が響き渡り、弦の唸りが素晴らしい。エネルギーの塊と化した828に対してMR94+291-16Kが完全に負けています。こういう音が出れば一安心。3ウェイマルチアンプですから、各帯域のエネルギー感さえ十分に確保できていれば、どのようなバランスにも仕上げることができます。特に、LoMax18の低域と3156の中低域を独立してレベル調整できるため、システム全体の音のコントロールが容易です。豪快な音やマルチアンプらしい端正な音も設定次第です。肝心の密閉化したミッドホーン部の音ですが、妙なクセはなく、気持ちのいい張り出し感があります。また、最初のころはやや眠そうな感じのLoMax18でしたが、一週間程度で目覚めてくれました。
ところで、2色ホーンシステムではDCX2496の出力を減衰させるために固定型アッテネーターを使用していました。白ホーンシステムでは、減衰量10dBと20dBの固定型アッテネーターを試してみたところ、これは20dBタイプの方が使いやすいように思います。DCX2496の出力を遠慮しないですむからです。このようにAVアンプへの出力レベルを考慮しつつ、測定なしで聴感で決めたDCX2496の設定は以下のとおりです。
Input Gain:0dB
Input EQ:109Hz BP +2dB 1.0(中低域の厚み調整)
Gain HPF LPF EQ
1. Bass LoMax18 +5.5dB n/a 119Hz 24LR 35Hz BP +4dB 2.0 (最低域のブースト)
2. Mid 3156 +4.5dB 119Hz 24LR 401Hz 24LR 223Hz BP -3dB 2.0(ミッドベースホーンの蒲鉾状の特性の補正)
3. Treble MR94+291-16K -4dB 401Hz 24LR n/a 8.87kHz HP/12dB +4dB(高域端の補正、上げすぎると音が薄くなります) 401Hz BP +5dB 1.8(ホーン下限の音痩せの補正) 1.98kHz BP -2dB 0.9(定指向性ホーンの補正、下げすぎると鮮やかさが失われます)
この設定の音は、全域に渡り滑らかで透明感があり、厚みと深みが感じられます。刺激的な音やホーン型特有のビーム感は皆無。もちろん、超高能率大型スピーカーですからその力強さや迫力は恐ろしいほど。一方、小音量時でも低音が明瞭。そして、古いホール用スピーカーシステムとは到底思えない、全くあきれるほどの音の美しさ。今回は名機の改造という危ない橋でしたが、何とか渡りきったようです。譲って頂いたヨハネスさんにもこれなら申し訳が立ちそうです。末永くこの白ホーンシステムと付き合っていこうと思います。
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