昨年(2008年)はスピーカーの年でした。4月に黄色いホーンシステム、11月には白ホーンシステムと、怒涛の増殖、残る場所はお風呂場だけ、むやみやたらの快進撃。あげく家庭の構成員よりもスピーカーのほうが多いという事態となり、こんなところにも少子化の影が…で、作ってしまったものは仕方ありません。とことんお付き合いしたいと思います。そういえば、昨年は2155Hと付き合い始めて12年目の年でもありました。いまだ2155Hは電子ピアノシステムでがんばっています。一方、LUXKITのパワーアンプ、A501は、ブツブツという異音を出すようになり残念ながら倉庫に引退。ちょうど30年間使用しました。
白ホーンシステムの音は、フロントロードホーンによる中低域の質感が特徴的です。この手のフロントロードホーンは、厚みのある中低域を持つものの、同時に、中低域が一塊に感じられるような傾向も持っています。白ホーンシステムでは、MR94+291-16Kによる鮮やかで生々しい高域成分が、この中低域の分解能にも影響を与えており、一塊に感じられるような傾向は弱められているように思います。この充実した中低域はオーケストラの弦楽器群の厚みや力強さを実にリアルに表現します。
ところで、18インチウーファーのLoMax18は、フロントロードホーンの中低域をしっかり下支えしているため、VOTTの中低域の張り出した雰囲気を抑えています。この強力なウーファーユニットの磁気回路は2段積みされた4インチボイスコイル用のフルサイズのフェライトマグネットから構成されており、ユニットの重さは15.2kgもあります。Peavey社の他の18インチウーファーユニットと共用であると思われるアルミ鋳造製のバスケット部を備えています。この8本のスポークは厚みが薄く、指先で弾くとチンと小さく鳴ります。これはおそらく、軽量化の要請、バスケットの共振周波数を高めウーファーの受持ち帯域内での共振を排除、そして、トッププレートの放熱効率を高めネオジウム磁気回路を搭載した場合にも転用できるように工夫されているのだと思います。LoMax18を白ホーンシステムに採用した理由は、828内部に確保できる箱の容積が小さかったことと、大きな実効質量(Mms194.68g)に興味があったためです。エージング中なのでまだはっきりしたことは分かりませんが、パンチがあってクリアな性格のように思えます。なお、828のウーファー部に取り付けた2本のダクトは、開口部が12cm×14cm、長さが28cmです。
Peavey社の18インチウーファーユニットは、Black Widow BWXシリーズの1808-8SPS、1808-4SPS、1808-8CU、1808-8HEの4機種、LowRider18、今回のLoMax18、そして、ProRiderシリーズの1808-8ALCPがあります。この中でLoMax18の価格がかなり高いのですが、これは磁気回路がLoMaxシリーズのみに適用されており同磁気回路の生産数が少ないことが原因だと思います。従って、これら7機種のユニットは、業務用としての過酷な使用状況における耐久性を除き、家庭内での使用における性能においては差がないのではなかろうかと。また、安価な製品でも厳しいQC(品質管理、Quality Control)が要求されている現代においては価格が安いから品質が劣るという心配もほとんどありません。7機種の中からどれか1機種を選ぶとなると、それぞれ実効質量が異なり必要となる箱の容積も様々であるため、大いに迷いますよね。
18インチウーファーを導入すると低音問題に一応の決着がつくように思います。かなり広い部屋でも1発で十分な低音エネルギーを提供することができます。一方、こうした大口径ウーファーは、最低域まで再生するために部屋のクセの影響を強く受けたり、中低域への影響により音が濁ったりするため、使いこなすのがなかなか大変です。特に、クロス設定では、クロス周波数よりも遮断特性の方が鍵を握っているようです。中低域に濁りを感じる場合には-24dB/oct以上の急峻な遮断特性が効果的だと思っています。
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