2025/01/31

JBL 2288H



JBLの最新の18インチウーファーはどんなかんじかWinISDで調べてみよう。
4インチボイスコイル、ディファレンシャルドライブのウルトラハイパワーユニットである。

Sd1232cm2
Fs29Hz
Mms279g
Qms8.5
Qes0.45
Qts0.43
Re4.2Ω
Vas106l
BI23.6Tm
Le 2.5mH
Xmax20mm
Efficiency η01.2%




なるべくフラットな特性を描くQuasi-butterworthは緑線である。
驚きました、実効容積135.6Lでこれですよこれ。
ポート周波数は26.75Hz。
-10dB落ちがきっちり20Hzになってる。

水色の-6dBだと16.29Hzでちょっと低すぎ。
これでも実効容積は223.46L。

赤線の-3dBだと212.91Lで20.24Hz。
素のままでこれかい。
いやぁ、やっぱりJBLは凄いや。





2025/01/28

CELESTION TSQ1845



以前紹介したTSQシリーズの18インチウーファーである。
大変見た目が良いというか、在りし日のアルニコマグネットを搭載した高級ユニットのような端正な外観である。




ネオジム磁石で連続許容入力3.6kwという途方もないハイパワーユニットである。
4.5インチボイスコイルはインサイド/アウトサイドタイブ。
巧みな冷却機構により通常の磁気回路よりも30℃ほどボイスコイルの温度を低下することができる。
磁気回路等はTSQ2145と共通だと思われる。
サウンドハウスで85800円(2574ポイント)。

BLは33.8TM、Mmsは316g、Vasは119.3Lであり、CF18VJDを上回る猛毒ユニットである。
現在の18インチではトップクラスであり、ライバルはB&Cの18DS115やJBL Professionalの2269Hや2288Hということになろう。

このTSQ1845がどんなユニットなのかWinISDで探ってみよう。
サブウーファー設計用のextended bass shelf -6dBを選択してProX18(緑)とTSQ(赤)を計算させた。
-6dBで棚状のフラットな部分が低域側に伸びる特性である。
ProX18の方が低域が伸びているが、実効容積は327Lと算出されている。
これに対しTSQは145Lである。




次に、容積を180L、チューニング周波数23Hzで計算すると、Prox18の方は容積不足で最低域がだら下がりになってしまい気持ちが萎える。
TSQは最低域までフラットであり、これに50Hzの-48dB/oct(8次)のローパスフィルターと、2素子のパラメトリックイコライザ(33Hz Q1.0 +3dB)(20Hz Q3.5 +1dB)を加えると青線になる。
20Hzで3.5dB落ちと晴らしい特性である。





先日の26.5Hzチューンの180L箱のProX18と比べてその差をどう考えるかである。
"自慢じゃないが俺は頭が変なんだよ"と自信をもって断言できる方は、とりあえずTSQ1845を選択すべきだろう。



Specifications
Nominal diameter457mm / 18in
Power rating1800W
Continuous power rating3600W
Rated impedance4Ω, 8Ω
Sensitivity96.5dB
Frequency range30-1,000Hz
Chassis typeCast aluminium
Magnet typeNeodymium
Voice coil diameter115mm / 4.5in
Voice coil materialRound copper
Former materialGlass Fibre
Cone materialGlass loaded cellulose, water-resistant coating front & back
Surround materialTriple roll, cloth sealed
SuspensionDual, polysiloxane-laminated
Gap height (Hg)12mm / 0.46in
VC winding height (Hvc)36mm / 1.42in

Parameters
Sd1134cm2 / 175.8in2
Fs35Hz
Mms316g / 11.18oz
Qms8.712
Qes0.300
Qts0.290
Re5.0Ω
Vas119.3l / 4.21ft3
BI33.8Tm
Cms0.065mm/N
Rms7.99kg/s
Le (at 1kHz)3.06mH
Xmax15mm / 0.47in
Xmech40mm / 1.57in
Efficiency η01.8%

Mounting Information
Overall diameter460mm / 18.1in
Overall depth235mm / 9.5in
Cut-out diameter416mm / 16.29in
Mounting hole dimensions7x11mm / 0.28x0.43in
Number of mounting holes8
Mounting hole PCD432-441mm / 17.04-17.36in
Flange & gasket thickness17mm / 0.67in
Unit weight11.8kg / 26lb

Packed Dimensions & Weight
Single pack size W x D x H500mm x 500mm x 280mm / 19in x 19in x 11in
Single pack weight12.3kg / 27.1lb




2025/01/25

Celestion PowerProX18



2023年に発表された18インチの新機種である。
パワープロックス18って、こういう名称がいい。
無味乾燥な英数字の型番よりも、プロライダー15、ローライダー18、ローマックス18などの名づけの方が好きである。




面構えのいいハイパワーユニットであり、マグネット重量は3.5kg、全体では13.2kg。
4インチボイスコイルはインサイド/アウトサイドタイブ。
Twin demodulation ringsとポリシロキサン層を間に挟んだダブルサスペンションを備え、コーンは両面コーティングされており耐湿性に優れる。
こういうスペックはTSQシリーズのフェライト版という感じもする。
サウンドハウスで45800円(1374ポイント)。

BLは24.38TM、Mmsは229.98g、Vasは188.9Lであり、これも強烈。
WinISDで遊ぶにはなかなか勉強になるユニットだ。
WinISDの基本操作をマスターしているなら、ちょっと遊んでみるといい。

例えば、DIYホーンシステムのサブウーファーに使用しているPeavey 1808-8HPSの代わりに使用することを想定してみる。
実効容積は180L、ダクトは半分封鎖する等の手直しをしてチューニング周波数を26.5Hzを指定、緑線で示す特性を得る。
実際に使用している50Hzの-48dB/oct(8次)のローパスフィルターを加えるとオレンジ線になる。
さらに、低域側を持ち上げるために、パラメトリックイコライザ(24Hz Q1.5 +4dB)を加えると水色線になる訳だ。
20Hzで約7dB落ちだから凄まじい仕上がりだ。
おそらく、JBL Professionalのモニター用サブウーファーであるSUB18とそう変わらないと思う。



優れたスピーカービルダーをめざすならこうしたシミュレーションを繰り返しながら、箱の設計だけではなく帯域別EQによる補正可能範囲を把握することだ。
そして一番大切なことは、こうしたフィルターの効果を実際に聴いて確認することだ。


Specifications
Nominal diameter457mm / 18in
Power rating1200W
Continuous power rating2400W
Rated impedance8Ω
Sensitivity97dB
Frequency range35-1000Hz
Chassis typeCast aluminium
Magnet typeFerrite
Magnet weight3.5kg / 124oz
Voice coil diameter100mm / 4in
Voice coil materialRound copper
Former materialGlass fibre
Cone materialGlass loaded cellulose, water-resistant coating front & back
Surround materialCloth-sealed
SuspensionDual-laminated
Gap height (Hg)11.75mm / 0.46in
VC winding height (Hvc)25mm / 0.98in

Parameters
Sd1210.0cm2 / 187.6in2
Fs34.8Hz
Mms229.98g / 8.1oz
Qms3.147
Qes0.431
Qts0.379
Re5.1Ω
Vas188.9l / 6.67ft3
BI24.38Tm
Cms0.091mm/N
Rms15.96kg/s
Le (at 1kHz)1.61mH
Xmax9.5mm / 0.37in
Xmech48mm / 1.9in
Efficiency η01.8%

Mounting Information
Overall diameter460mm / 18.1in
Overall depth225mm / 8.9in
Cut-out diameter414mm / 16.29in
Mounting hole dimensions11x7mm / 0.43x0.28in
Number of mounting holes8
Mounting hole PCD441-432mm / 17.36-17.31in
Flange & gasket thickness16.2mm / 0.64in
Unit weight13.2kg / 29.1lb




2025/01/22

Celestion CF18VJD



ランシングヘリテッジのフォーラムが復活した。
やれやれ一安心である。
これで気分が良くなったので久々にスピーカーユニットのネタ、いってみよう。




この画像で見ると、なんだか8インチ程度のかわいらしいユニットに見えるけど、これは18インチ。
磁気回路が異常にデカいので小口径に見えてしまうのである。
マグネット重量は約5kg、全体では23kgある。
ボイスコイル径は5インチ、インサイド/アウトサイドタイプだ。
Twin demodulation ringsとダブルサスペンションを搭載。

BLは32.59TM、Mmsは265.42g、Vasは145.81Lと屈強なユニットである。
PD.1850/3がライバルということになろう。
Celestionの推薦箱は実効容積135Lとコンパクトである。
なお、サウンドハウスで73800円(2214ポイント)で販売されている。


Specifications
Nominal diameter457mm / 18in
Power rating1600W
Continuous power rating3200W
Rated impedance8Ω
Sensitivity97dB
Frequency range25-1500Hz
Chassis typeCast aluminium
Magnet typeFerrite
Magnet weight4.93kg / 174oz
Voice coil diameter125mm / 5in
Voice coil materialRound copper
Former materialGlass fibre
Cone materialCarbon and kevlar loaded paper
Surround materialCloth-sealed
SuspensionDouble
Gap height (Hg)12mm / 0.47in
VC winding height (Hvc)30mm / 1.18in
Additional impedances4Ω

Parameters
Sd1134.12cm2 / 175.79in2
Fs34.50Hz
Mms265.42g / 9.36oz
Qms4.573
Qes0.332
Qts0.309
Re6.13Ω
Vas145.81l / 5.15ft3
BI32.59Tm
Cms0.08mm/N
Rms12.59kg/s
Le (at 1kHz)1.87mH
Xmax12mm / 0.47in

Mounting Information
Overall diameter462mm / 18.19in
Overall depth233mm / 9.2in
Cut-out diameter416mm / 16.38in
Mounting hole dimensions11x7mm / 0.43x0.28in
Number of mounting holes8
Mounting hole PCD432-441mm / 17.0-17.36in
Unit weight23kg / 50.6lb

Packed Dimensions & Weight
Single pack size W x D x H500mm x 500mm x 255mm / 19.7in x 19.7in x 10in
Single pack weight24kg / 52.8lb




2025/01/19

Nara and Kyoto



東大寺二月堂の南側に掛けられた絵馬。
軍鶏(シャモ)を描いたものと思われる。
昭和戌寅(つちえのとら)は昭和13年(1938年)、孟冬(もうとう)は冬の始めや初冬、陰暦の10月。
Capture Oneのキーストーン補正を駆使し、正確な正面撮影を再現してみた。




D800  28-300  ISO 1600  1/160sec  f/8  85mm  hand-held





2025/01/16

LANSING HERITAGE



この先どうなるのか確定的ではないのだが、ランシングヘリテッジのフォーラムが終ってしまうかもしれない。
ここのところフォーラムにアクセスできなくなっており、今後復活する可能性は非常に低いと思っている。
かなり以前からフォーラムの一部であるギャラリーなどが表示されなくなっており、復旧されないままだからだ。

オーディオというかスピーカーの世界を大きく広げてくれたのがこのフォーラムだった。
オーディオ分野の中でも伝統と格式のあるJBLやALTEC等の大型のスピーカーユニットを使いこなす強者が世界中から集まっており、さらにJBL社の技術者も参加していたのだから格別である。
彼らがもたらしてくれた専門的な知見や貴重なデータ、そして歴史的な資料が見られなくなってしてしまうのは残念に思うが、仕方のないこととも思う。
米国のオーディオブームは日本よりも十数年先行していたので、米国の典型的なJBLフリークの高齢化は日本より深刻な状況だった。
JBLがスピーカーユニットの単売をやめてしまってから、メーカーとの一体感というか情熱がフォーラム全体からどんどん失われてしまったという背景もある。
しかし、こういう巨大なフォーラムは人類の文化的な資産ではないだろうか。
フォーラムの運営者が維持困難な状況に陥っても、その手助けをするような通信事業者やそれに準ずる者が今後出現することを期待する。
そのためにもそうした手助けを社会的に高く評価し、これが新たなビジネスチャンスになったり法人税の減税の対象になるような優遇制度を作るべきだろう。




ランシングヘリテッジのフォーラムのJunior Memberになっており、こんな書き込みもした。
この改造ALTECシステムに関するスレッドの閲覧数は、この書き込みの後跳ね上がり、最終的には7万を軽く超えていた。
DIYスレッドの中で上位5%に入る人気だった。
また、"Member Systems-My Photo Gallery"には、黄色いホーンシステム、改造ALTECシステム、DIY HORNシステムの画像をアップロードしていた。
以前ここに書いたように、このギャラリーでは黄色いホーンシステムの画像の閲覧数がトップだった。
それに加え、10位以内に黄色いホーンシステムの他の画像や改造ALTECシステムの画像が数枚入っており、また、DIY HORNシステムの画像も11位と、まさにkiirojbl帝国といった雰囲気だったのである。
ちなみに、自分の画像をクリックして閲覧数を上げるというようなことは一切していない。
そんなことをすると世界中のJBLフリークの趣向を伺うことができなくなり興ざめだからだ。
先に記したようにこのギャラリーはすでに閉鎖されて見ることができない。
まあ、いずれ全ては忘却の彼方に消え去る。
しかし、それでもJBLの世界屈指のスピーカービルダーとしてお墨付きを頂いたという"贅沢な夢"を見させてもらった。

フォーラムの各スレッドには興味深い知識と知恵とユーモアが沢山あり、実にエキサイティングであった。
歴史的文脈からスピーカーユニットの構造や構成要素を理解し、スピーカーシステム全体を考えてゆくという面白さは、このフォーラムによって倍加した。
ランシングヘリテッジには心から感謝している。




2025/01/14

Nara and Kyoto



福田美術館の円山応挙(1733-1795)の牡丹孔雀図である。
安永3年(1774年 42歳)の作品である。
随所に使われている美しい青色が印象的だった。




D800  28-300  ISO 6400  1/40sec  f/5.6  50mm  hand-held



作品の制作にとりかかった。
今度は鳥である。




2025/01/11

Nara and Kyoto



オーディオネタは楽しいのだが残念なことに続かない。
音楽を聴くだけの個人的な世界であり、装置も安定してしまっているのでそうそう事件は起こらない。
という訳で京都旅の話題に戻ることにしよう。

嵐山の福田美術館は撮影が禁止されていない。
AF補助光が出ないようにMFで撮影した。
伊藤若冲(1716-1800)の群鶏図であり寛政4年(1792年 76歳)に描いた作品である。




D800  28-300  ISO 6400  1/40sec  f/5.6  45mm  hand-held




2025/01/09

Ms. Kana Hanazawa



昨日の来訪者数が異常に多かった。
まあ、こんな凄いスピーカーで何聴いてんだコイツ、みたいな感じだったのかもしれない。
で、以前からクラシックの気に入ったCDの紹介をしてみたらどうだろうと思っていたのだが、やっぱりアニソンだからこんだけ来訪者数もあるのだろう。




D800  28-300  ISO 100  1/30sec  f/8  70mm  hand-held


今回はマルチアンプのレベル調整等に使用するCDを紹介しよう。
以前は松田聖子さんのCDを使用していたのだが、現在は全く使っていない。
その代わり、花澤香菜さんのCDを使うことが多い。
それらアルバムのタイトルは、"claire"、"25"、"Blue Avenue"、"Opportunity"、"blossom"である。
全てレンタルCDをリッピングした。

花澤香菜さんの歌声に出会ったのは、化物語の2枚組CD"歌物語"であった。
この中に2曲収録されていたのが最初である。
マルチアンプの調整では、歌よりも会話などの話し声が一番いいのではないかと思っている。
比較的容易に不自然な帯域を感知できるからだ。
このため女性ボーカルも普段の話し声に近い雰囲気を持つ声質の方が好ましいと思っている。
これでだいたいのところを押さえ、あとは、聴きなれたクラシック等の楽曲で詰めることになる。

最近では、こうした作業において一曲を繰り返し再生するということはなくなった。
20~30秒程度聴いて、次から次へとどんどん曲を変えていく感じだ。





2025/01/08

Girls Band Cry



ひと月前ぐらいにガールズバンドクライをamazonのプライムビデオで視聴した。
アニメはまあまあという感じだったのだが、曲が良かった。
棘アリと棘ナシというCDを購入し、それから結束バンドと、こちらは買うかどうしようかと思っていたのだが、この際だからと購入した。
同時にキリルペトレンコのSukのCDやリムスキーコルサコフの交響曲集なども購入した。
なんだか支離滅裂である。




D4S  24-85  ISO 100  1/60sec  f/8  58mm  hand-held



数年前、コロナ禍が始まってレンタルCDをやめた。
感染が怖かったからである。
レンタルCDからリッピングする方法が安かったので、新しいCDばかり借りていた。
というか、このころにはすでに聴き慣れた昔のCDを聴かなくなっていたのである。
ま、飽きたというか、貴重な時間をこうした昔のCDにさらにつぎ込むのはどうか、と思うようになったわけだ。

で、このトゲトゲは、ボーカルがいい。
尖ってるし、かわいい。
早口で何言ってんだか分かんないのはボカロの影響と言うか流行りなんだろうと思う。
結束バンドの方はトゲトゲに比べるとちょっと普通っぽいかな。
D4Sでアニソンのジャケットを撮るというのも、実にあれだな。




2025/01/07

DIY Horn Speaker System



如何だっただろうか久々のスピーカー談義は。
編集後記という訳ではないが、これに関連して現代のホームオーディオについても少し書いておこう。

米国では1950年代から60年代にかけてのオーディオブームが終わると、音楽はカーステレオで楽しむのが主流になった。
車は一人一台、毎日の通勤時に家族に気兼ねなく曲を選択し音量も自由にできる。
そのうちイヤホンやヘッドホンによる音楽鑑賞のスタイルが一般的になってゆき、ホームオーディオはこうした流れの中で衰退する。

ホームオーディオ業界が生き残りをかけてやっと見つけた道は、音場を重視したオーディオである。
"中央にボーカルがポッカリ浮かんで、左にベース右にギター、後方にはドラムが見えます、素敵でしょう"とオーディオ店の店員はオーディオに疎い客に対してしたり顔でアピールできる。
こういう営業トークはイヤホンやヘッドホンを日常的に使用している客には特に効果的だ。

音場系のシステムではスピーカーを部屋の壁面から離して配置するため、間接音の割合が多くなる。
間接音とひと口に言っても初期反射と残響音があり、これらは音の構成要素として非常に重要である。
"風呂場の美音"と簡単に片づけ馬鹿にする訳にはいかない。

ところで、エンジニアであった菅野沖彦氏がそういう音場系のシステムを聴いて"ピンク・フロイドからサン=サースまで終始一貫して印象が変わらない"と感想を述べたそうである。
これは誉め言葉なのか、それとも痛烈な批判なのか。
モンスターモニターはこのあたりのこともきちんと音で教えてくれるのである。




2025/01/06

DIY Horn Speaker System



DIY Horn Speakerは黄色いホーンシステムに比べると小型である。
このため同じ土俵で黄色に立ち向かうことは、DIY Horn Speakerの規模では無理である。
それもあって、黄色とは異なる方向、つまり異なる山頂を目指しているのである。
まあ、小型とは言っても壁面に埋め込む必要はないぐらいバッフル面積は広いし、ホーンキャラクターが無いこともラージモニター系の頂点を目指す動機の一つになっている。

7ウェイマルチアンプのモンスターモニターをここまでの音に押し上げたのは、1990年代後半から始まった業務用スピーカー界におけるDSP革命の恩恵を受けることができた、ということが大きいと思う。
このプロ用DSPは"スピーカーユニットの能力を最大限引き出すため"には必須の技術要素である。
タイムアラインメントをオートでできるようになったというのはその最たるものだ。
レーザ測距し距離を手入力していたが、DCX2496のオートアラインを実行すると全てのピントがシャープに合ったように激変した。
複雑怪奇な自作スピーカーの完成度が市販スピーカーのそれを楽々と超えてみせたのである。

また、オートアライン以外にも、DEQ2496のオートGEQや10素子を操れるPEQ、DCX2496の0.1dBステップのレベル調整、入力側のPEQや帯域分割後の帯域別PEQなども非常に効果的であった。
DCX2496やDEQ2496などのベリンガー製品は、ともかく使い方が難解で取説を読んでも理解が難しいことがままある。
しかし、諦めずになんとかモノにしてゆくと音質劣化を伴わない精密なデジタルコントロール技術による新たな地平が手に入る。

まあ、こうして途方もない7ウェイマルチアンプシステムをビシッとまとめることができた。
ここまで来れた、だから、これからも先も努力を続けてゆこう。




2025/01/05

DIY Horn Speaker System



ラージモニターは、録音ブースでの突発的な過大入力によっても故障しない耐入力が必要である。
15インチダブルならそうそうウーファーが飛ぶこともなかろう。
また、ダイナミックレンジが広大である点も、同様に評価できる点であろう。
さらに、大口径ウーファーは空気感の再現に優れており、この能力に欠ける12インチ以下の小口径ウーファーは聴いていてつまらない。
演奏の迫真性、音楽の躍動感において重要な要素だと思う。

ラージモニターは、スイートスポットが広いという利点がある。
ミックスダウンではスモールモニターを使用するのが普通だが、映画音楽など多人数の聴衆を前提とする音楽の場合、ラージモニターがミックスダウンで使用される。
スイートスポットが広いというのは音楽制作現場であるスタジオでミュージシャンが仲間と音楽を検討する際にも重宝する。
厳密に中央に座らないと音の共通認識を得られないというのでは困るのである。

どうだろう、ラージモニターについての理解は深まっただろうか。
俺にとってのスピーカーって何よ、という問いに対して、生音の再現という点でラージモニターはかなり近いものを持っているように思う。




2025/01/04

DIY Horn Speaker System



ラージモニターは録音スタジオのミキサー室の壁面に埋め込まれている。
何をするためのスピーカーかというと、録音ブースでマイクがひろった生音をそのまま再生するためにある。
とりあえず、それが主目的である。

壁面に埋め込まれている理由は、デカくて邪魔になるとか、エンジニアが足を引っかけて転倒するのを防止するため、ではない。
スピーカーのバッフル面を壁で囲い、スピーカーの背面側に音が回り込まないようするためである。
スピーカーの背面に回り込んだ音がさらに前面に割り込んできて、スピーカーユニットから直接放射された音波に干渉しないようにするためである。
間接音で音が濁らないようにしている訳だ。

ミキサー室はライブじゃなくてデッドな環境であり、また、比較的狭く設計されている。
残響時間が長くなるを避けるためである。
また、ラージモニターが配置されている壁面はミキサー卓のすぐ向こう側にある。
スピーカーのサイズやモニター時の音量を勘案すると、信じられないぐらいニアフィールドの配置となっているのである。

要するにラージモニターの再生音が、間接音に邪魔されず正確に聴き取ることができるように、全ての環境が整えられているのである。
間接音の多い環境では変化による差異が分かりづらくなり、音の選択に自信が持てなくなる。
プロアマを問わず、オーディオの基本にかかわることである。




2025/01/03

DIY Horn Speaker System



ラージモニターにはやっぱり4インチダイアフラムのコンプレッションドライバーは必須だろう。
ホーン部には15インチダブルを振り回す腕力がないと音がまとまらない。
具体的には、全帯域のなかに弱い帯域があってはダメなのである。
全ての帯域のエネルギー感が揃っていて初めて生音の再現ができる。
スピーカーシステムのユニット構成というか選択はこうした観点から行わなければならない。

コンプレッションドライバーの優れている点は、その変換効率の高さである。
フェーズプラグとの間の狭い空間の空気をダイアフラムで叩く。
逃げ場のない空気にエネルギーがばっちり伝達される訳である。
これがドーム型とかその他のダイレクトラジエタータイプのユニットだと、ダイアフラム周囲の空気は自由な状態であり、これでは十分にエネルギーが伝わらない。

変換効率が低いことは、エネルギー感に満ちた音を提供できないという問題にとどまらない。
振動板の非常に微弱な振動が空気に十分に伝達されないということは、音のニュアンスを再現できない。
家庭内における音量では15インチダブルを振り回すことができるかどうかという問題よりも深刻である。

さらに指向性制御という問題もある。
ドーム型等は高域になるにつれ指向性が狭まりビーム状の音圧分布になる。
未だに解決されていない大問題なのだが、解決の糸口さえも見つからないので長年放置されたままである。
残念ながら真正面から取り組むメーカーは未だにあらわれない。
一方、ホーンでは指向性制御技術が大変な努力の末に確立されている。
一般のオーディオマニアはもはや体験する機会が無いだろうが、現代的なホーンの完成度は驚異的なレベルにあることは確かである。




2025/01/02

DIY Horn Speaker System



新春巻頭特別企画"ラージモニタースピーカーのすべて"全5回シリーズ発進!!!!!
さあ、盛り上がってまいりました。

昨年秋にDIY Horn SystemのベリンガーのDEQ2496を交換した際に再セッティングを行い、それ以来大変調子が良い。
クラシック以外は低音の2素子のQを絞り(63.2Hzと89.3Hzを共に1/3oct)、痛快かつ豪快、うーむ、実に生々しい。
気分も実に晴れ晴れとし、オーディオをやっていて良かったと思えるのである。

そこで、DIY Horn Systemについてちょっと語ってみよう。
このシステム、以前少し触れたように録音スタジオのラージモニターとして育ててきたのである。
音楽制作の現場で使用される業務用大型スピーカーシステムを意識している訳である。

DIY Horn SystemのホーンにはJBL Professional M2のホーンスロート部分の形状を取り入れた。
JBL Professionalのモニタースピーカーは、かって録音スタジオのモニタースピーカーとして一世を風靡した。
現代のM2も一定の成功を収めているようであり、その証拠にM2に追随する他社製品もあらわれている。


さて、ラージモニターというからには、ある程度のサイズが必要となる。
4350/4355や木下モニター7は、そうしたラージモニターの代表格であろう。
ここでは、誠に勝手ながら15インチダブル以上をラージモニターとして取り扱う。
理由は特にはないが、黄色いホーンシステムのような巨大システムと日常的に向かい合っていると、この15インチダブルというのは最低ラインなのである。
最低というのはサイズ的なものもあるが、DIY Horn Systemは7ウェイマルチアンプシステムなので4ウェイ程度では全然ものたりないのが本音だ。
いつのころだったのか、最小限で済ませようとする態度に背を向けて、最大限を引き出そうとする道を一人歩き出したのである。




2025/01/01

I hope you will have a great year!



あけましておめでとうございます。
今年もよろしく。




D800  28-300  ISO 2000  1/8000sec  f/11  105mm  hand-held