2019/05/27

DIY Speaker (104)



自作スピーカーの楽しさ、これはまさにプライスレスです。
どれにしようかな?のスピーカーユニットの選定。
箱の容積やバスレフの計算。あれこれ思いをめぐらす。
それからデザイン。ユニットを箱のどこに取り付けようかとか、仕上げはどうしようかとか。
そして工作。工作技術が低ければ低いほど、経験が少なければ少ないほど、ドキドキ感がすごい!
小さなスピーカーから大きなスピーカーまでこうした楽しさにかわりはありません。

そういう意味で、今回のDIYホーンスピーカーの製作は大変楽しめました。
ホーン作りでは大失敗の繰り返しで、これがまた得難い経験というか泣き笑いの連続でした。
できあがってみると、よくあきらめないで完成にこぎ着けたものだと感無量。
人生の素晴らしい思い出になったと思います。

自作スピーカーの魅力のひとつに好みのデザインにできるというのがあります。
市販のスピーカーシステムは、音楽を楽しむには、デザインが固いというか真面目すぎるというか。
業務用ユニットを使用した自作スピーカーの海外サイトやLansing HeritageのDIY Forumの中には、「こやつ、こんな魔法を使ってくるのか!」みたいなユニークなシステムを見ることができます。
そういうシステムを見ると、創作意欲が刺激され、何故だかこちらも生き生きとしてきます。

DIYホーンスピーカーでは、ユニットやダクトの数が多いので、その配置についてあれこれ検討しました。
製作期間が8年ぐらいと長かったので、その間、様々なデザインが浮かんでは消えを繰り返しました。
ブログを振り返ってみると、ホーンタワーの横に幅55cmのウーファータワーをくっつけるという案は2012年の3月ごろに出てきます。


この案が基本になり、2017年の11月の最初の音出しの前後からウーファータワーのデザインの本格的な検討が始まります。
1. 左側に現れるオーケストラのヴァイオリン群の艶やかさを堪能するために2431Hを中央に配置すること。
これが最優先事項。次に、
2. 上部ウーファーは、ヨハネスさんの4発の30Wの配置を参考にしてなるべく高い位置に配置したい。
という希望が続きます。

ツィーターである2407Hの配置を2431Hに近接させることは決まりましたが、これを2431Hの外側にするか内側にするかで悩みました。
JBLの4348では、2431Hの民生版である435ALを10kHzまで使用しています。
10kHzであれば、通常のツィーターの帯域は2431Hから再生されるであろうから、2407Hを2431Hの内側に配置することにしました。

上部ウーファーのダクトは、2431Hのせっかくの美音を損なわないように、サイドダクトや背面ダクトを検討しました。
背面ダクトは背板の無用な共振を招きそうなので却下、また、側面内側に配置すると2つのダクトが対向することになるので、これも気持ちが悪く却下です。

結局、部屋のコーナーに向けて側面外側にダクトを配置することになりました。
部屋のコーナーは悪いことにホーンタワーによって封鎖されてしまった状態になっていますが、ホーンの背面形状が複雑なため気柱共振は避けられるのではないかと。
また、何らかの効果が感じられる場合には、響きの補強という点からこれを積極的に活用してみるのも面白いと思ったのです。
もっとも、悪影響が出るようであれば、ダクトに詰めものをするまでですし。







複数のスピーカーユニットの連続的な配置、あるいは、視覚的な関連性により、視覚的な意味合いが生じます。
例えば、上の画像のLo-DのHS-10000では、小さなユニットから大きなユニットへ至る視覚的な誘導が感じられます。
こうした視覚的誘導を意識しながら全体のデザインを考えてゆきました。




大きなホーンとウーファーユニットとの関連性が2つ、それを縮小したようなミッドハイとハイの関連性が1つあります。
これらを赤のラインでつなぐと上昇する視覚的な誘導が生じます。
一方、4つのウーファーとサブウーファーを青いラインでつなぐと下降する視覚的な誘導が生じます。
この赤の上昇ラインと青の下降ラインから、両翼を広げた猛禽類のイメージを創り出しました。
この視覚的イメージは、扇型に各楽器が配置されたオーケストラを前方から見たイメージにも合致し、音楽鑑賞の際のイマジネーションを広げてくれます。

こうしたことはCADの図面で検討できるのですが、中央の十字状のスリットや、ウーファータワーのバッフル面に対して内側を向いているホーンタワーのバッフル面がどのような感じになるのかは、完成するまで想像の域を出ませんでした。
中央の十字状スリットの水平スリットは当初2mm厚のシナ合板をスペーサーにして形成していたのですが、これではスリットの存在感が薄いため、4mm厚に変更した経緯があります。

ウーファータワーとホーンタワーのバッフル面との角度はホーンタワー側を微妙に移動することにより変化させ、「ここだねっ!」という角度を選んでいます。
また、サブウーファーの傾斜バッフルがウーファータワーとホーンタワーの角度のついたバッフルにマッチしていることに気づいたのも、2期工作完成後でした。

DIYホーンスピーカーは、その浮世離れした雰囲気がインスタレーション アートのようでもあります。
大型スピーカーの場合、音が出ていない時でも目を楽しませてくれるというのは、かなり重要なファクターではないかと思っています。




 

2019/05/25

DIY Speaker (103)



オーディオラックにアンプ類を収容しました。
イケアのBestaのフレームに5枚のガラス棚板とガラス天板を組み合わせ。
背板はカッターを用いて穴を開けました。
ラックの白色に緑っぽいガラス板の感じがさわやかです。




ベリンガーのDCX2496等は脚部がないので、その代わりにダイソーの耐震マットを5組使用しました。
くっつきますので機材を操作してもずれませんし、地震でラックから飛び出すことも防止できます。
また、上下の機材の間にジェルマットの厚みの空間を確保することができるので放熱にも貢献するかも。

同時にパワーアンプの配属も変更しました。
2451HにA500を使用すると残留ノイズが出てしまうので、これをAVC3890で駆動することにしました。
AVC3890にすると残留ノイズがほぼありません。
その結果、上部15インチウーファーと下部15インチウーファーを2台のA500により独立して駆動することになりました。

ミッドベース(1008-8HE)用のA500の入力ボリュームを少し下げたため、初期調整はやり直しです。
例によって、測定と女性ボーカルを使用した試聴の繰り返しです。
で、こうなりました。

1. SUB 1808-HPS, -50Hz(LR48), -5.0dB, A500 10:00位置, 逆相接続
 EQ1 50Hz -6.0dB BP Q3.5
 EQ2  25Hz +6.0dB BP Q2.2
2. LOW LOWER 1508-8ALCP, 50Hz(LR48)-200Hz(LR48), -10.0dB, A500 10:00位置, 正相接続
3. LOW UPPER 1508-8ALCP, 50Hz(LR48 or OFF)-200Hz(LR48), -10.0dB, A500 10:00位置, 正相接続
4. MID LOW 1008-8HE,  200Hz(LR48)-594Hz(LR48), -6.0dB, A500 9:00位置, 正相接続
5. MID 2451H,  594Hz(LR48)-3.93kHz(LR48), -7.5dB, AVC3890 -18dB, 逆相接続
 EQ1 1.50kHz -4.0dB BP Q2.0
6. MID HIGH 2431H,  3.93kHz(LR48)-10.3kHz(LR48), -7.5dB, AVC3890 -18dB, 逆相接続
7. HIGH 2407H,  10.3kHz(LR48)-, -6.0dB, AVC3890 -18dB, 逆相接続




上部のウーファーは、通常は50Hzでカットしますが、カットを解除して低音側を伸ばすこともできます。
せっかく2つウーファーがあるので、レベル調整や受け持ち帯域の個別設定を試してみようと思っています。
また、上部ウーファーと下部ウーファーはリスニングポイントまでの距離が異なりますので、オートアラインによる個別設定も行う予定です。
というわけで、DIYホーンシステムは7ウェイマルチアンプシステムになりました。

初期調整後のテストドライブには、バーンスタインのショスタコーヴィチ5上野、同モーツァルトのハフナー、リンツ、プラハ、シフのチャイコフスキーピアノ協奏曲1、デュトアのシェヘラザードとローマの三部作、セルのハーリ・ヤーノシュと韃靼人の踊り、ケーゲルの幻想、ベルグルンドのシベリウス3、また、モノラルではワルターのブラームス3を使いました。




うん、これで本当に初期調整は完了というか成功。
海の方から吹いてくる心地よい5月の風の中でビルスマのバッハを聴きました。