2023/12/30

YAMAHA TRBX604FM TBL



ヤマハのエレキベースを購入した。
サウンドハウスで71500円(7150ポイント)だった。
トランスブラックだが青みがかっており、大変美しく精悍な雰囲気がするベースである。




隣は倉庫で眠っていたプレイテックのEBT-404である。
ボディはアッシュ、指板はローズウッド、スルーネック、PUはシングルとハムバッカー、これで当時2万円ぐらいだったと思う。
少し前にこれを倉庫から出してきたのだが、とりあえず当時買い置きしておいたプレイテックの弦(奇跡的に錆びていなかった)に交換した。
その際、各部の磨き上げ、増締め、オレンジオイルの塗布、ネックの修正、オクターブチューニング等を行った。
というわけで新品同様、完璧に復活した。
弾き方も忘れておらず、しばらく面白がって弾いていると新しいベースが欲しくなった。
フェンダーのウルトラでも買うかな、などと不遜な態度でサウンドハウスのさまざまなベースを眺めていると、その中で分相応の604に目がとまった訳である。

404と604を弾き比べてみるとなるほど価格差3倍の音の差はあるなと思った。
604の方が音が深くて透明感がある。
もっとも404はプレイテックの格安弦、604はダダリオのだから、これは弦を同じにして比べないとだめだろう。
それはともかく、DIYホーンシステムでの爆音ライブは快感である。







12月19日から27日までまた京都に遊びに行った。

19日 清水前泊
20日 京都着、桔梗で昼食、三十三間堂。
21日 大覚寺、天龍寺しげつで昼食、福田美術館で若冲、北斎、芦雪を堪能、ラ・トゥールで夕食。
22日 金閣寺、龍安寺、昼食は茶蕎麦、相国寺承天閣美術館で若冲と応挙を堪能、めなみで夕食。
23日 三千院、芹生(せりょう)でとろろ蕎麦とぜんざい、味工房志野で買い物、寂光院、ホテルオークラ京都。
24日 平等院、養源院で俵屋宗達を堪能する。
25日 銀閣寺、みたらし団子(久々に行ったが味が落ちてる)、下鴨神社、相生社、休息。
26日 紫式部の廬山寺、京都市美術館で日展を見たがつまらん、南禅寺。
27日 S550で帰還。混んでない京都を車で回るのはほんとに楽だ。




2023/12/04

SKAGEN Grenen Ultra Slim SKW6827



スカーゲンのSKW6827を購入した。
amazonで10924円だった。
ウルトラスリムシリーズは昨年発表された比較的新しいシリーズだ。




通気性のあるメッシュのステンレス製バンドも含めてローズゴールドの仕上げとなっている。
金属感にあふれているのでサックスの演奏には合うかもしれない。
2針で日付表示なし、サファイアクリスタル搭載ということで厚さが4.85mmしかない。
また、ケースの直径は37mmなのでコンパクトだ。
重さの方は69gと、軽くもなく重くもなくといった感じだ。




つけごこちが良く、安価なこともあり傷つきを気にしないで使用している。
ファッション時計としてはかなり上出来な方だと思う。
なお、現在のスカーゲンはフォッシル傘下のメーカーであり、デンマーク風デザインと理解している。





2023/11/25

YAMAHA Saxophone Mouthpieces Custom Series



ヤマハのカスタムシリーズのAS-3CMとTS-3CMをワタナベ楽器店楽天ショップから購入した。
アルト用のAS-3CMが12060円、テナー用のTS-3CMが14000円だった。
一般的なエボナイト製のほぼ半額であり、ヤマハなのでバラつきも少ないと思われ、通販でも買いやすい。
画像でヤマハ製のリガチャーを装着しているのがカスタムシリーズである。




ヤマハのシンセティックリード2.5と3をそれぞれ装着して比べてみたが、2.5で良さそうだ。
手持ちのマウスピースのなかではこのカスタムシリーズが一番吹きやすい。

アルト用のティプオープニングとフェイシングを比較してみると、
ヤマハ AS-3CM 1.40mm/22.0mm
ヤマハ AS-4C  1.60mm/23.0mm
セルマー S90-180 1.45mm/24.0mm

テナー用では、
ヤマハ TS-3CM 1.60mm/24.0mm
ヤマハ TS-4C  1.70mm/24.0mm
柳澤 TC180 1.80mm/24.0mm
となっている。

ヤマハのカスタムシリーズはエボナイト製であり、画像からも分かるようにフェノール樹脂製の4Cと比べると全体のサイズが大きい。
また、内部の形状も異なっており別物であるという印象だ。




楽器やオーディオ製品は趣味のものではあるが、軍需品的な考え方でとらえている。
基本的な性能が高く、信頼性があり、安価で丈夫。
ヤナギサワのサックスも今回のヤマハのカスタムもそんなふうに眺めて選んだ。





2023/11/16

YANAGISAWA Tenor Saxophone T-WO1



柳澤のテナーサックスT-WO1を石橋楽器からamazon経由で購入。
374000円(18700ポイント付)だった。
ちなみに標準価格は484000円である。

物価上昇に伴い楽器の価格もうなぎ上りだ。
例によって、そのうち買うだろうと思っていたのはテナーサックスと木製のアルトリコーダー。
アルトサックスのA902があるのでテナーは我慢、木製リコーダーは大変魅力的なんだが管体の割れが心配で買えない。
でまあ、価格がうんと上昇すると結局は諦めることになるので、思い切って価格の高い方であるテナーサックスを購入した。




石橋楽器のネット店から購入すると調整後配送するそうだが、amazon経由だと調整なしで届く。
柳澤の梱包テープがそのままの状態であり開封した形跡がなかったからだ。
海外のスレで"Yanyの場合には納品時の調整はいらないぜ"という話もあったしね。
開封後、蓋やらキイに挟んであった四角や三角のコルクの小片を指示書どおりに取り除いた。
恐る恐る半音階スケール等を試すと問題なし。

付属品のマウスピースはヤナギサワのエボナイト180C、リガチャーはYany Ligatureである。
また、ダダリオのリザーブ2.5が1枚だけ入っていた。
画像の両サックスのマウスピースはヤマハの4C、リードはヤマハのシンセティックリード2.5だ。
A902は普段はセルマーのS90 180だが、今回はアルトとテナーを同条件にしてみたかったのでヤマハのフェノール樹脂のマウスピースとシンセティックリードで統一した。
簡単清潔な音であり面白味はないが、テナー用の使えるケーンがないという今回の状況では仕方がない。
テナー用のマウスピース等はこれから色々試すことになろう。

テナーサックスの低音の鳴りは迫力があり本当に素晴らしい。
それにアルトより大きいので見栄えがする。
吹いて良し眺めて良しである。
高かったけど買ってよかった。




2023/11/12

Xiaomi Watch S1



ソーラー電波腕時計という新手の時計が好印象だったので、さらに飛躍して今度はスマートウォッチを試しに買ってみた。
シャオミのS1である。
参考価格32980円のがamazonで17727円だった。




スマートウォッチがどのようなものなのか全く知らなかったため、とりあえずGPS付ということと、外装がプラスチックではないことからこのS1を選んだ。
もちろん比較的安価だったこともある。
心拍数とか血中酸素濃度などを測定できるので、スポーツでの体調管理が主な目的のようだ。

スマホにソフトを導入しペアリングしてから早速トレッキングに出かけた。
GPS機能を試すためである。
現場に到着してからダイヤル画面に表示される多くのスポーツの中からトレッキングを選択して歩き出す。
帰宅してからスマホのソフトで見てみると、トレッキングしたルートが地図上に描かれていた。
思っていたよりも正確である。
ルート以外にも距離やタイム、消費カロリーや速度、積算上昇や積算下降(m)、心拍数グラフ等様々なデータやグラフが表示される。
もっとも通過地点の表示(1km毎の表示はある)などがなく、ヤマレコのログの代わりにはならないと思う。

それからスマートウォッチはダイヤルを常時表示することができないことを初めて知った。
ウォッチを傾けるとダイヤルが表示され、設定できる最長20秒でふっと消える。
なお、簡易的なデジタル表示は常時表示が可能である。
スマートウォッチでは、電力消費が問題になることも初めて知った次第である。
それから、スマホと同期しているので仕方がないのだろうとは思うのだが、表示時刻が2秒ほど遅れている。
電波時計と比較するとはっきりする。




スマートウォッチは従来の腕時計と同じ形はしているが別物という感じだ。
S1のサファイアクリスタルやポリッシュのステンレス外装は美しいのだが、従来の腕時計のような精密感が味わえない。
しかし、ランニングやサイクリングに使用するのであればGPS機能のあるスマートウォッチはかなり楽しい相棒になるだろう。






2023/10/30

YAMAHA YDS-120 Digital Saxophone



ヤマハのデジタルサックスYDS-120を購入した。
amazonで55909円だった。




ヤマハのウィンドシンセはWX7、WX11、WX5と続き、その後ずいぶん長い間絶えていたと思う。
WX7のころはFM音源だったので、そりゃダメだったのだろうとは思うけど、WX5が発売された当時はVL音源があったので、かなり期待した。
しかし、この手のウィンドシンセは、なんというか、カッコ悪いのである。
音が良くなってもそのカッコ悪さとその割には結構なお値段のため、今まで見送ってきたという経緯がある。

YDS-120はお値段がまあまあこなれており、デザインにまとまりがあって素敵に思えた。
ヤナギサワA902を持っているのであえて購入するメリットはないけど、やっぱりウィンドシンセを一度は吹いてみたいという願望があったので、これはしょうがない。
そういえばヤマハにはブレスコントローラーという製品があったけど、あれは試したくないな。

YDS-120はデジタルサックスということになっているが、リードは備えておらず、従って口の形(アンブシュア)は関係ない。
また、運指はサックスと同様であるから基本的にリコーダーと同じだ。
しかも非常に軽い。

音は悪くないというかむしろ素晴らしい。
昔のブラスの音源を知っていると隔世の感がある。
また、遠い存在であるバリトンサックスの音が出せるのは楽しい。

MIDI出力をKOMPLETE13のSESSION HORNSで発音させてみた。
セッティング用のアプリもありいろいろ遊べそうだ。 




2023/10/28

SoundFrail



SoundFrailの早瀬文雄氏が死去されました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
まだまだこれからがあると思っていたので大変残念です。

以前メールを頂いたのですが、そのときは何となくうまくいきませんでした。
しかし、SoundFrailは読み続けており、また、こちらのブログに反応されていることも存じておりました。

SoundFrailでのオーディオは晴れやかな迷走を続けており、いや、混迷の悦楽を極めているとも言えるかもしれませんが、そこには自由奔放かつ深淵な複雑思考が展開しつつも早瀬氏の素直な人格と酔った勢いでポチッとしちゃったおかしさが反映されており、なんだか大変面白かった。

こんなに面白いオーディオはなかなかないと思う。
インターネットのオーディオの最高傑作だ。

だから大変残念だ。
だから泣きそうだ。




2023/10/13

CASIO PROTREK 6900YL-5JF



シチズンのソーラー電波時計が気に入ったので、今度はプロトレックの6900YL-5JFを購入した。
これもソーラー電波時計である。
8角形のべセルは鍛造ステンレスでカバーされておりなかなか精悍だ。
amazonで47740円(7384ポイント)、参考価格は62000円。




今までのプロトレックは登山用としてデザインされていたが、これはキャンプ用をイメージしている。
従来路線から外れたデザインは大歓迎だ。
釣り人用のプロトレックもあるようだし、カシオには新しい用途、例えばバードウォッチング用とか星見用など、どんどん挑戦をしてほしいものである。

トリプルセンサー(方位、気圧/高度、温度)を搭載しており、プロトレックとしては標準的な機能だ。
しかし、歩数計測やスマホとのリンクはできない。
キャンプの雰囲気に合わないからだろう。




方位と高度はそれぞれ右上と右下のボタンで表示できるが、気圧と温度は左下のボタンを順に押してゆく必要がある。
高度の補正は、高度を表示した状態でねじ付きの竜頭をゆるめ一段引き出して行うもので簡単である。
なお、サファイアガラスではないので、傷つき防止に35mm径のガラスフィルムを貼った。
Tzcizの3枚入りがamazonで850円だった。
重さはこのガラスフィルム付の状態で64gと先のシチズンと同じだ。
なお、ラグ幅は23mmである。




開封時点では30秒ほど進んでいたが、窓際に置いておいたら夜0時に修正された。
シチズンのプロマスターと並べると秒針の位置が一致していることが分かる。




2023/09/27

CITIZEN PROMASTER CB0204-14L



シチズンのBL5495-05Eを購入したのは2013年10月。
それから腕時計が面白くなったわけだが、10周年記念ということで同社のCB0204-14Lというソーラー電波時計を購入した。
amazonで41036円(410ポイント)、参考価格は110000円であり63%引きだそうである。
なお、BL5495-05Eの色違いが今でもamazonで売られている。




チタン製で64gと軽い。
開封時点で正確な時間を表示していた。
サファイアクリスタルであるが、平ガラスなのでいまいち色気が無い。
画像では光が当たって金色に見えるが、実際はやや黒みがかった真鍮色であり地味である。
ダイヤルは艶の無い濃紺。ほとんど黒色である。
ラグ幅は22mm。
ベルトも濃紺であり、これも黒色に近い。
プロマスターシリーズは派手なデザインが多いが、その中では異色に思える。




腕時計ではこれが初めての電波時計である。
時刻のずれを気にしなくていいというのはこんなにも気楽なことなのかとちょっと驚いた。





2023/09/03

Loudspeaker Systems Design



あまりに巨大になってもどうかと思うのでDIYホーンシステムと同じサイズで作図してみた。
この円形ホーンの直径は130cmである。
300Hzクロスぐらいなら余裕だろう。




ホーンの設計は、最低限、キール氏の論文の熟読が必要だろう。
従来のホーンの問題点について深く理解することができる。
その他、JBL2360やALTECのMR94などの定指向性の大型ホーン、さらに、JBL23922352等のホーンのプロポーションが参考になるであろう。
DIYホーンシステムのようにM2タイプのホーンに仕立てるのも良いかもしれない。

ウーファーは直接放射型とし、低音ホーンは採用しない。
定指向性などの現代的なホーンの場合、その音触は低音ホーンのそれとはまったく合わないからだ。




2023/08/26

Loudspeaker Systems Design



デザインの方法として温故知新というやり方がある。
古きをたずねると、そこからインスピレーションを得ることが多い。
であるからして、古いシステムを徹底的に調べ、それらシステムの設計者たちが何を考えていたのかということに思いをはせることがスピーカービルダーとしては最低限必要だ。

5インチボイスコイルの次は、ウーファーの数をどうするのか、という問題になる。
シングルウーファーがダブルウーファーか、という選択肢しかないという訳ではない。
温故知新の例をここで示そう。

まずはALTEC A1の初期モデルである。
一般的なオーディオマニアならA4あたりで思考停止だが、それではオリジナルデザインの世界を切り開くことはできない。
やはり、誰でも知っているようなシステムでは"古き"としては役不足である。
A1は6発だが、ここはその片側3発ウーファーに心を奪われてみよう。




3発と言えばこのシステム、WEのワイドレンジシリーズだ。
32㎝ウーファーだが、オープンバッフルの3発である。
A1のような横一列の配置ではないことや、ウーファー部に比べホーン部の規模が不釣り合いに大きいことに注目したい。







2023/08/21

Loudspeaker Systems Design



スピーカーユニットの口径ではなくボイスコイル径こだわるとしたら、CelestionのAxi2050が出現したことだし、これはもう5インチが旬ではなかろうかと。

組み合わせる5インチボイスコイルのウーファーは色々考えられるが、口径は何がいいか。
KLIPSCHのJUBILEEは12インチだったのだけれども、ジュビリーよりも大型のホーンを組み合わせたいので、ここは15インチにしたい。




15インチで5インチボイスコイルとなると選択肢はあまりない。
Precision DevicesのPD.155NR1がいいだろう。
ネオジムマグネットを搭載した現代的ユニットでAxi2050にお似合いだ。
PD.155NR1は"BASS/LOW-MID RANGE DRIVER"用ということなので、さらに18インチから24インチのサブウーファーを加えることもでき、大規模システムの中低域用ウーファーとしてもってこいだ。
箱の推奨容積は75Lから200Lであり、使いやすそうなユニットである。




PD.155NR1 BASS/LOW-MID RANGE DRIVER

Radial neodymium motor structure
Vented cast aluminium chassis for improved thermal control of voice coil
Forced air cooling vented voice coil gap
Aluminium demodulation ring
5″ High temperature copper voice coil
For two way ported applications and bass reinforcement in bass reflex / horn loaded enclosures
Rear aluminum heat sink

GENERAL SPECIFICATIONS
Type Bass / Low-Mid Range Driver
Available Impedance 4 Ω/ 8 Ω/ 16 Ω
Nominal Diameter 15" / 381 mm
Voice Coil Diameter 5.0" / 127 mm
Peak Power (6 dB Crest Factor) * 4000 W (A.E.S.)
Power Rating 1 2 * 1000 W (A.E.S.)
Sensitivity (1W/ 1m) * 98.5 dB
Frequency Range 45 Hz - 2 kHz
Resonance 37 Hz
Voice Coil Winding Depth 1.20" / 30.50 mm
Recommended Enclosure Volume 75 - 200 Litres
Flux Density 1.18 Tesla
Magnet Material Neodymium
Magnet Gap Depth 13.00 mm / 0.51"
Former Material Glass Fibre
Dust Dome Material Solid Paper
Voice Coil Material Copper
Cone Material Paper
Suspension Material Poly Cotton
Surround Material M Roll Poly Cotton

THIELE SMALL PARAMETERS
Fs 37 Hz
Re 5.4 Ω
Qms 6.1
Qes 0.237
Qts 0.228
Le (@ 1 kHz) 2.350 mH
Vas 140 Litres
Mms 154.00 g
Sd 895 cm2
Cms 123.20 µm/N
BL 28.60 T/m
Xmax 12 mm
Vd 0.980 Litres
Ref. Efficiency 2.77%
EBP 156.12 Hz

DIMENSIONS & MOUNTING
Overall Diameter 408.30 mm
Width Across Flats 395
Flange Height 11.00 mm
Depth (Excl. Flange) 190.00 mm
Magnet Diameter 168 mm
Chassis Shoulder Diameter 356.00 mm
Outer Bolt Circle x6 M6 on 395 mm PCD
Inner Bolt Circle N/A

SHIPPING INFORMATION
Nett Weight 10.00 Kg / 22.05 lb
Shipping Weight 11.00 Kg / 24.25 lb





2023/08/05

DIY ART "Thunder God"



横雷神が完成してから、毎夜眺めることができて幸せである。
照明を落として薄暗い部屋に浮かぶのは、寺院等で見る襖絵と同様の雰囲気を持つ。
こういう鑑賞スタイルだと金地でも全く派手と言うことはない。

横雷神を描いた動機は、部屋でじっくりと味わいたいと思ったからだ。
だから私淑というのはちょっと違うかもしれない。
風神雷神図屛風は数年に一度しか公開されないし、やっぱり画像では味気ない。
描く楽しさと鑑賞する楽しさを手に入れることができた。










製作の参考にした画像はwikiで入手した。
それら画像に明度調整などを行って色を探っていった。
クローズアップでは塗膜の剥離状態がはっきりとわかる。
特に雷神の左腕や、風神の眉毛などがひどい。
これだけ傷んでいるとちょっと動かしただけで塗膜があちこち崩れそうだ。





こうして比べてみると、意外と似ていないものだなぁと思う。
まあ、自分の意図やクセがちらちら見えているので、これはこれで面白い。
しかし、こうした模写はしばらくはやめておこう。
描くのはとても楽だし、楽しくてやめられなくなりそうだ。




2023/08/02

DIY ART "Thunder God"



横雷神が完成した。
横265cm、縦159cmは御覧の通り、部屋の壁面いっぱいである。
この下にDIY ARTの作業机を置くので、下側5cmぐらいが机で隠れてしまう。
そして頭上に横雷神様をいただきながら、せっせと画業にいそしむのである。




横にしたのは理由がある。
俵屋宗達の雷神は、愛嬌がある。
しかし、横にするとその愛嬌みたいなものが消えることに気づいた。
雷神の真剣さのみを描きたかったので、横雷神様になってもらった次第である。
それに上から下へ打ち下ろすみたいなのは好きではないので、横方向へぶっ飛ばすんだぁと、まあこれが21世紀的ではなかろうかと。

まわりの雲は描かなかった。
金色の背景がうまく塗りあがり、きれいだからだ。
この金地は、7回塗り重ね、うち2回は金と銀を1対1で混ぜたものを使用した。
使用した塗料は金、銀を含め、すべてニューサクラカラーである。




予想していたよりも楽しめたしいろいろと学べた。
私淑である。
面白いもので、途中から丸筆ばかり使用するようになった。
丸筆はぺんてるのネオセーブルの細いのや太いのである。
そして、たらし込みの技法は雷神のあらゆる部分で使用した。

なお、雷神様は本来青い肌らしいので、やや青みを入れた。
また、右手親指の爪は風神の爪を参考にして再現した。
妻は雷神様の尖った爪がお気に入りなのだ。





2023/07/25

Loudspeaker Systems Design



スピーカーシステムの設計には、決まったやり方などない。
黄色いホーンの場合は、4インチボイスコイルにこだわっていたような気がする。

2402H05    1.75inch
DE500       2inch
2451H       4inch
2446H       4inch
2490H       4inch
1008-8HE   4inch
1808-8HPS  4inch
PD.2450      6inch

1008-8HEはダブルだから、4インチボイスコイルだらけだ。
2451Hは、のちに3インチボイスコイルの2431Hに交代した。
やっぱり、帯域によって適切なボイスコイル径というのはあるのかもしれない。




一方、DIYホーンシステムの場合は、こんなかんじ。
こっちは、1508-8ALCPがダブルだ。

2407H       1.5inch
2431H       3inch
2451H       4inch
1008-8HE   4inch
1508-8ALCP   4inch
1808-8HPS  4inch

市販のスピーカーシステムで4インチボイスコイルだらけというのは、なかなか無いというか、4350ぐらいか。
口径ではなくボイスコイル径にこだわる、これは一つのやり方かもしれない。




2023/07/20

Loudspeaker Systems Design



DIYホーンシステムの下の画像のアクセス数が異常に伸びている。
その書き込みをGoogle翻訳を使って読んでみると、かなり興奮気味で、そのせいかあまり紳士的とは思えないコメントもある。




メトロポリタン美術館の元館長であるトマス ホービング氏は、美術品の贋作をテーマにしたNHKの番組でこんなことを語っていた。
"本物の芸術はあなたを興奮させ、考えさせ、笑わせ、眉をひそめさせる。
あなたの想像力をかきたてます。
でも贋作は「死体」です。
何も言わないし、何も問いかけない。"

という訳で、facebookの諸君はDIYホーンシステムが芸術品であることを間接的に証明してくれた訳である。
まあ、そんなことはどうでもいいが、優れたスピーカーシステムのデザインは芸術的側面を持つことを誰も否定できまい。
せっかく苦労して製作するなら、どこかで見たことがあるようなスピーカーだなぁ、と思えるようなデザインはできれば避けたいものである。





2023/07/16

Loudspeaker Systems Design



Axi2050は大型ホーンと組み合わされ、KLIPSCHのJUBILEEに搭載されている。
ジュビリーはクリプシュホーンを備えた12インチ2発と、300Hz以上を受持つホーンによる2ウェイ構成。
技術的なトピックスとしては、Axi2050のスロート口に指向性を改善するためのプラグを設けたこと、3本のバスレフダクトをフロントロード内部に開口した点である。
また、DBR15のようにDSPにより制御されるが、残念ながらアンプは付属しない。

このジュビリー、高さ175㎝、幅127㎝、奥行76㎝と恐ろしく巨大である。
現代的なスピーカーシステムとしては例外的なサイズである。
往年のクリプシュホーンが化けて出てきたような感じだ。
DIYホーンシステムと同じぐらいの大きさは、正直、驚きである。









京都に妻と二人で行ってきた。
11日午後に建仁寺に行き、風神雷神図屛風(複製)等を見た。
12日は鞍馬山に登り、貴船に抜けて川床料理を食べた。
帰りに北野天満宮に行きお礼をし、夕食は鱧会席をいただいた。
13日は三十三間堂、それから智積院に行き、長谷川等伯を堪能した。
宝物館の本物は素晴らしい。夕食は開陽亭。
14日は嵐山の天龍寺、篩月で精進料理をいただく。
竹林を抜けて大河内山荘庭園に行った。
それから福田美術館で竹久夢二展を見た。めなみで夕食。
15日は養源院に行かず、そのままS550で引き揚げた。









2023/07/08

Loudspeaker Systems Design



CelestionというとUL6とかDitton66などを思い出す方が多いだろう。
当時は、タンノイと並びイギリスを代表するスピーカーメーカーとして認識されていた、というか、英国国旗がやたら広告に表示されていた記憶がある。
現在はギターアンプやベースアンプ用のスピーカーユニット、それから業務用ユニットを主に生産しているが、設立はなんと1924年であり来年で100周年になる。
なお、Celestionと同様に現在も活動している老舗のスピーカーメーカーとしてはJENSEN(1915年設立)、Tannoy(1926年設立)がある。
あなたが生まれるはるか以前からスピーカーユニットを作り続けているCelestionのドライバーを搭載し、それを最先端のDSPで制御しているDBR15は、だから魅力十分だ。

そしてCelestionのドライバーというとAxi2050に触れないわけにはいかない。
放射状にリブが形成されているフラットなリング形状のチタンダイヤフラムを備えており、そのボイスコイル径は5インチ、ダイヤフラム外周の直径は175mmにもなる。
この独創的な形状のリング状ダイヤフラムの面積は、5.5インチのドーム型ダイヤフラムに匹敵するそうだ。
300Hzから20kHzまで再生可能という超ワイドレンジのコンプレッションドライバーである。




構造はBMSタイプのものとかなり異なる。
3重スリットのイコライザを備え、中央のイコライザの内部がバックチャンバーになっているようだ。
そして、この2インチスロートのドライバーはネオジムマグネットを搭載しているにもかかわらずかなり大きい。
外寸直径は198mm、重さも7.5kgとヘビー級である。





2023/07/02

Loudspeaker Systems Design



20cmウーファーの308PMK2は確かに素晴らしいがもっとアグレッシブなシステムが欲しいとなった場合、308PMK2をサブにして、例えば、メインシステムとしてヤマハのDBR15を導入する手もある。
KS100の生まれ変わりという訳ではないが、38cmウーファーとホーンの2ウェイ構成によるオーディオ用としては大型システムである。
さらに、ウーファー用に400W、ツィーター用に65Wの2台のデジタルパワーアンプを搭載し、これをDSPで総合的に制御している。
これで価格は1本、5~6万円なのだから驚く。




ウーファーユニットは2.5インチボイスコイルであり深めのバスケットを持つ。
このウーファーはヤマハの自社製だろうと思う。
一方、ドライバーはCelestionのCDX1-1445である。
1インチスロート、PETP製の1.4インチダイヤフラム、マグネットはフェライトである。
これらのスピーカーユニットのスペックは、例えば、タンノイのLegacyシリーズのArden(748000円/1本)に匹敵する。




DBR15で特筆すべきは、そのコンパクトなサイズであろう。
15インチクラスの箱をこのサイズでまとめるのは至難の業である。
しかも、海外のレビューではどれもサブウーファーを加える必要はないと報告している。
それだけの低音をこのコンパクトな箱で確保するためには、スピーカーユニットと箱(ダクト)の設計とDSPによる補正(デフォルトでの)機能を組み合わせてトータルでの性能を追及する必要がある。
このような設計手法を採れることがパワードスピーカーのメリットであろう。

DBR15はエンクロージャーがプラスチック製であり、また、4段変速の空冷ファンを備えている。
この点が家庭用のスピーカーシステム等には見られない点である。
まあ、家庭内での音量では箱鳴りがするとか最低速でしか回転しないファンの音が気になるということはないだろう。





2023/06/29

Loudspeaker Systems Design



KS100は、さらにパワードスピーカーに興味をもたせてくれた。
パワードスピーカーとしては、最初にJBLのPebblesを購入し、その後JBL Professionalの305PMK2と308PMK2を購入した。
置き場所などをあちこち変えてみる手間暇は必要だが、家庭用のオーディオシステムとして308PMK2で十分ではないかと思っている。
オーディオ三大鉄則の、文句があるならまずはスピーカー設置場所(位置)変更、である。

最近のモニター用やPA用のハワードスピーカーは、ウーファー用とツィーター用に2台のデジタルアンプを搭載したマルチアンプ方式のものがほとんどである。
さらに、DSPを搭載し、チャンネルディバイダーの機能と周波数レスポンスの補正(デフォルトでの)機能もある。
このため、最初から出音が素晴らしく手間いらずである。
スマホをつなぐだけで、特に不満のないオーディオシステムが完成してしまうのである。




従来のオーディオでは、アンプとスピーカーの組み合わせで音を変化させるということになっていた。
しかし今や、手軽に楽しめるというかまともな価格で入手可能なオーディオ用のスピーカーやアンプはほとんど無いように思う。
昔ほど量産されないので高価なのは仕方がないのかもしれない。
しかし、モニター用のパワードスピーカーは世界中で販売されおり、その量産効果もあってか、性能の割に大変安価である。
また、こうしたパワードモニターは、一流メーカーの最新のオーディオ技術を手軽に体験できるところも魅力である。



2023/06/25

Loudspeaker Systems Design



ヤマハのKS100という存在は、JBLやALTECのスピーカーユニットを客観的に眺める契機になった。
例えば、4インチのボイスコイル径は高耐入力というか、ハイパワー用のかなり特殊なウーファーであることが分かってきた。
また、業務用ではプレスフレームが一般的であることも知るようになった。
オーディオの世界では有名なJBL等のスピーカーユニットがいかに素晴らしいかということを再認識させてくれたのである。
その一方で、それほどの特殊なスピーカーユニットでなくても家庭用として使うなら十分ではないのかとも思うようになった。

確かに、JBL等のスピーカーユニットを使用すれば盤石ではあるものの、実際に家庭内で鳴らす場合、それがマルチアンプである場合にはなおさら、驚くほどの小音量でしか鳴っていない。
7ウェイや8ウェイといった超マルチアンプシステムでは、ウーファーでもわずかにうなっているという程度だ。




黄色いホーンシステムは、大型のホーンスピーカーシステムのマニアの海外のスレッドなどによく掲載されている。
その中のコメントでPeaveyのウーファーを使っていることを疑問視する意見があった。
なるほど、システム構成から見てJBL Professionalのウーファーを使えと、その気持ちはよく理解できる。

20年ぐらい前の話だが、Peaveyのウーファーユニットを最初に導入する際、その評判を調べてみたことがあった。
ProSound Webのフォーラムで、Low Rider 18のリード線が断線することが報告されていた。
こうしたことはハイパワー時にリード線がサスペンション(ダンパー)に叩かれて生じる。
しかし、この不都合以外の良くない評判を発見することはできなかった。
さらに、この不都合は家庭内の使用で起こるのか、ということである。
結局、Peaveyのスピーカーユニットを数機種試してみたが、JBLに買い替える必要はないというのが結論である。
KS100の存在が頭の片隅にあることにより、オーディオとの付き合い方が、ブランドに惑わされない冷静さ伴うものになっているわけである。




2023/06/22

Loudspeaker Systems Design



大学生のとき学園祭の野外ステージで白いコーンのキーボードアンプを見た。
その時は生き生きとした音に好感を持っただけだったが、後日、ヤマハのキーボードカタログでそれがKS100であることを確認し、これでオーディオができないだろうかと思うようになった。

1981年3月に発売されたKS100は、100Wのアンプを搭載した38cmウーファーとホーンによる2ウェイのキーボードアンプである。
キーボードアンプというのは、ギターアンプとは異なり音造りがされていないため、パワードのPAスピーカーと同じである。
当時の定価は1本12万円、2本で24万円。
大学生にとっては結構なお値段だが、JBL 4320のようなスピーカーシステムが新品でしかもアンプ付きで入手できるのだから安いと思った。
しかし、その時はオーディオシステムを持っていたので興味を持っただけで終わった。



このKS100はスピーカーシステムに対する認識を広げてくれた。
まず、楽器分野のスピーカーシステムやスピーカーユニットに興味を持ったことである。
高能率で音の鮮度が高く、しかも、大口径であってもあまり高価ではない。
また、楽器分野のメーカーの手によるものだから音質について信頼できる。

次に、アンプが付属している点である。
それも比較的ハイパワーアンプであり、割安である。
そもそもアンプに興味はないし、興味のないものに金を払うのは面白くない。
オーディオ三大鉄則にもあるように、金をかけるならスピーカー、だからである。




2023/06/17

Loudspeaker Systems Design



NS10Mについてよく言われていることは、その優れた過渡特性と群遅延特性である。
優れた過渡特性は、やはりあの白いコーンのウーファーユニットがもたらすものだろうと思う。
おそらくはNS470やNS451の開発で得た経験がNS10Mで結実したのだろう。
群遅延は小容積の密閉箱であれば非常に小さくすることができる。
スピーカーのエンクロージャーの設計ソフトによってシミュレーションできるので、バスレフと密閉、容積、ダクト共振数などで群遅延特性がどのように変わるのか試してみると理解しやすい。




NS10Mは家庭内で音楽を楽しむという一般的な使用状況においては必ずしも優れたスピーカーとは言えないかもしれない。
しかし、音楽をクリアに楽しむという点ではヒントを与えてくれる。
使用しているスピーカーがなんとなくモヤつく場合には、まず、100Hz以下の低域側のレベルを下げてみよう。
-3dBではなく-6dBとか-9dBぐらい極端に。
そして、その減衰した分だけグッと音量を上げてみる。
たいてい、それでモヤつきは改善される。

モニターの音量は、細かな音まで聴き取らなければならないので大音量である。
しかも長時間の作業になるのでボイスコイルの温度上昇によるパワーコンプレッションの問題が生じる。
金属は温度が上がると電気抵抗が増えるので、ボイスコイルが熱くなると抵抗値が上がりウーファーの音量が低下してしまう。
NS10Mではそれに加え、ネットワークのコイルの過熱によるカットオフ周波数の上昇という問題点が指摘されている。

パワーコンプレッションによる低域側のレスポンスの低下は家庭内では起きないだろうが、多人数で行う試聴会の主催者になった際には気をつけたい。
瀬川冬樹氏の"JBL4350を鳴らした話"は、長時間の大音量再生により低域側のレスポンスの低下が生じ、相対的に中域がクリアに聴こえるようになったと、まあ、こんなところかもしれない。




2023/06/15

Loudspeaker Systems Design



当初NS10MはNS1000Mの残念賞みたいなスピーカーシステムだった。
そうですかあなた1000Mは高すぎますか、ならこちらはどうです1000Mを作られた仲村昭氏の手によるものです、目玉焼きぐらい僕が作りましょう...御免

しかし、レコーディングエンジニアのグレッグラダーニーが東京のスタジオで耳にしたNS10Mをロスに持ち帰ったことから状況は一変する。
自社のスピーカーシステムが世界の著名な録音スタジオのモニタールームに設置されるという見果てぬ夢は、その音だけでプロフェッショナル達に選ばれてゆくという理想的な過程を経て実現されてゆく。
それをこの残念賞のスピーカーシステムが完璧にやってのけたのである。




それまでのオーラトーン5Cに代わりNS10Mはミキサー卓のメーターパネルの上に置かれ、ニアフィールドモニターとして使用された。
主にミックスダウンに使用されるため、低域と高域を抑え、音楽の基礎的な帯域である中域が聴こえやすい小型スピーカーが望ましい。
低域に関しては小型の密閉箱と等価質量の小さな振動系であったため、300Hzぐらいから低域側にかけてレスポンスがだら下がりであった。
量感のある低音は中域を聴き取りにくくするため、NS10Mの低域特性はニアフィールドモニターとして好ましいものだった。
一方、ボブクリアマウンテンがNS10Mのツィーターをテッシュで覆ったのは有名な話である。
これはソフトドーム特有の特定帯域での鋭い指向性を緩和し、明るすぎる高音を弱めて中域を聴き取りやすくするためであった。
しかし、NS10Mの価値は、そうした帯域バランスだけではない。







2023/06/13

Loudspeaker Systems Design



その後、NS470の直接の後継機種だったのかどうかは判然としないが、NS451が登場する。
20cmと小口径化され、その代わりに低音を増強するためかバスレフ箱になった。
まあ、そこまではいい。
なんだかやってくれそうな雰囲気を感じたのは白いコーンのウーファーユニットである。




NS470の断面図を見てみると大量の吸音材が目立つが、やはりビシッとしたストレートコーンのウーファーユニットに目が行く。
このDNAがNS451の白いコーンに引き継がれているように思った。
プレスコーンではなく、ペーパーをくるっと巻いて貼り合わせたというDIYみたいなユニットである。
そして、この白いコーンは18㎝とさらに小口径となり、NS10Mに引き継がれることになる。







2023/06/11

Loudspeaker Systems Design



ダストキャップ全体が透けているスピーカーユニットはそう無い。
おっ、こいつ透けてるぞって奴がヤマハのNS470だった。
電流歪防止の銅キャップ付きポールピースを見せつけるその25㎝ウーファーは密閉箱に入れられていたのである。




ぶらりと立ち寄ったとあるオーディオ店で発売されたばかりのNS470が死闘を演じていた。
お相手はなんとJBL Professionalの4320である。
NS470の価格は一本32000円。
しかも、サランネットは赤、青、緑の3色から選ぶことができ、大ヒット作のビクターSX3みたいな白木仕上げ。
オマエ、やる気あんのかよっ、ってまあ、普通なら門前払いを喰らいそうなスピーカーシステムである。

ところが、このNS470、殴られても殴られても立ち上がって挑み続ける。
いい勝負をしているのである。
とうとう4320を打ち負かしてしまいました、というところまではいかなかったが、その力量に度肝を抜かれたことは確かだ。

4320の名誉のために付け加えておくと、4320はフロアにベタ置き、NS470は段積みされたスピーカーの中央に陣取っていた。
だから4320はホーンの位置が低すぎたし、NS470は小口径故の低音側の迫力不足をバッフル効果で補えたように思う。
また、NS470には似つかわしくない結構な大出力アンプが使用されていた。
しょぼいスピーカーには凄いアンプ、凄いスピーカーはしょぼいアンプでOKっていうオーディオ三大鉄則からすると、NS470にはかなり有利な条件だったと言えよう。





2023/06/09

Loudspeaker Systems Design



当時、DS251やDS301よりも面白いなぁと思っていたのがDS31CMK2である。
30cmと20cmの2つのウーファーが搭載され、5cmコーン型ツィーターも2つ、さらに銀色の3cmスーパーツィーターまで搭載されており、豪華絢爛である。




しかし、今になってよくよく眺めてみると、これもアコースティックエアーサスペンション方式だし、何となくAR1の焼き直しのような気がしてきてあまり面白いとは思わなくなった。
それに、当時の三菱は、ロクハンの他には、5cmツィーター、20cmと30㎝ウーファーぐらいしか製造しておらず、パイオニアやナショナルといった国産スピーカーユニットメーカーの多彩な製品群に比べると数段劣る感じがした。
フォスターやコーラルの方がまだまし、という感じだ。
そういう旗色の悪さをカバーするためか、三菱はNHKのBTS規格に準拠していることを喧伝していたが、規格準拠というのは最高性能を意味しない。
規格準拠とは最低限の性能保証という意味にすぎず、従って、解明されていない技術的要素が多いスピーカーに関して規格を振り回し高性能を訴えるのは愚かなことだろう。

でも、三菱のスピーカーユニットは、その分なんだか妙に安かったという印象はある。
なんだかんだ言っても安価なユニットは大好きである。
30cmウーファーのPW125なんか2S-305の価格に比べると大変安く、自作する価値は十分あるように思えた。




ところでこのPW125、ダストキャップ(センターキャップ)の全体が透けておりポールピースのてっぺんが丸見えである。
通気性を良くしてボイスコイル周辺の温度上昇を抑え、過大入力によるボイスコイルの焼損を防止するためだったのだろう。





2023/06/06

Loudspeaker Systems Design



アコースティックエアーサスペンション方式の発明者であるエドガーヴィルチャー氏はビジネスパートナーであるヘンリークロス氏と共に1954年にAR社(アコーステックリサーチ社)を設立した。
最初は、この発明を他のメーカーに持ちこみ、スピーカーシステムを製造してもらおうと思っていたが、どこにも相手にされず、結局、自分達で生産することになった。

最初に作ったのはAR1である。
1954年のことである。
オリジナルの30cmウーファーと20cmフルレンジの2ウェイ。
30cmウーファーがアコースティックエアーサスペンション方式であり、20cmフルレンジには小容積のチャンバーが与えられていた。
この20cmフルレンジは、ALTEC LANSING社製の755Aである。
そして、このAR1は商業的に大成功を収めた。




日本で有名なのはAR3a(下の画像)であろう。
エドガーヴィルチャー氏はアコースティックエアーサスペンション方式の発明だけではなくソフトドーム型ユニットの発明者でもあった。
ヴィルチャー氏が設計したのはそのソフトドーム型のユニットを搭載したAR3。
1958年に発売され、これも大ヒットした。
AR3aは、ヴィルチャー氏ではなくロイアリソン氏の設計によるもの。
なお、AR3とAR3aは一時期並販されており、AR3aでの改良点がAR3に施されたりしたそうだ。







2023/06/04

Loudspeaker Systems Design



お次はダイヤトーンのDS251、DS301である。
どちらもシルバーに輝く3cmコーン型スーパーツィーターがカッコよかった。
DS251は、20cmウーファーと5㎝コーン型ツィーターにスーパーツィーターを加えた3ウェイ、DS301はドーム型のスコーカーとツィーターを備えた3ウェイにDS251と同じと思われるスーパーツィーターを加えた4ウェイ。
DS251は日本のスピーカー市場で大ヒットを記録した最初のスピーカーシステムだったのではなかろうか。




DS251とDS301はアコースティックエアーサスペンション方式。
小容積の密閉型のエンクロージャー内部の空気の弾性をウーファーのコーンのサスペンションとして利用する。
コンパクトな箱なのに低域側の再生帯域を飛躍的に拡張することができ、スピーカーの設計に革命を起こした。
また、ハイコンプライアンス型のユニットは空気の弾性をサスペンションにするため、ダンパーと呼ばれていた機械的なサスペンションに頼る従来のユニットよりもリニアな振幅運動を実現し低歪だった。




この方式はアメリカ人のエドガーヴィルチャー氏が発明し、1954年に特許出願、1956年に特許権が付与されている。
この特許権は、AR社がエレクトロボイス社を訴えた特許権侵害訴訟において、裁判所が無効と判断した。
特許出願書類は特許弁護士に頼むことなしにヴィルチャー氏本人が作成した。
このため、発明の内容を明確に定義するための技術的な限定をうまく記載することができず、エレクトロボイス社が提出した先行技術との差異があることを裁判官に対して証明することができなかったのであろう。





2023/06/02

Loudspeaker Systems Design



推薦箱に入れたPAX-A30とCS900を比較したのが下の画像である。
このサイズの違いには驚かされる。
スピーカーシステムの歴史からみると、1950年代半ばに開発されたAR社のアコースティックエアーサスペンション方式により、こうした巨大なバスレフ箱は駆逐されたことになっている。
しかし、1970年代初頭の秋葉原では、パイオニアという同じメーカーの同口径の製品にもかかわらず、こんなにも考え方に違いのある製品が併存していたのである。




ところで、こうして描いてみると、PAX-A30とCS900ではウーファーの位置が正反対である。
PAX-A30はウーファーがバッフル板の上方に配置されており、CS900は下方に配置されている。
そりゃ、同軸のフロア型とブックシェルフ型だから当然だろう、というのではなく、こうも配置が異っていてもあまり問題にしないところがある意味凄いと思う。

なお、PAX-A30のウーファー部であるPW-A30という製品があったが、これはハイコンプライアンス型のPW-A31に更新された。
しかし、この新型のウーファー部を備えた"PAX-A31"は待てど暮らせど出現せず、これでPAXシリーズはおしまいになってしまった。




2023/05/31

Loudspeaker Systems Design



PAX-A30の推薦箱の内、大きめのサイズのがこれである。
縦108cm、横72cm、奥行45cm、内寸容積275Lと現代的な30cmクラスの箱と比べるとかなり大きい。




箱の大きさは測定上、低域の再生限界に関連するが、聴感上はそれに加え低域側のスケール感と関係する。
要するに朗々と鳴る、のである。
スピーカーシステムの原理は共振系を電磁的にドライブすることだから、猛烈なドライブ力のある超巨大ユニットと超ドでかい共振系とを組み合わせると、とてつもない何かが起こる。
それから、こうした現象は広大なバッフル面積の相乗効果によってもたらされることも指摘しておこう。

箱が大きくなると、当然、箱を構成している板材の振動も問題になる。
補強材をたくさん入れてガチガチに固めると一安心だが、これを緩めてある程度鳴らしてやるやり方もある。
あまり固めるとホーンも箱も音が死ぬ、というか楽しくなくなる傾向があるので、ほどほどにしておいた方がよい。




上は、38cmウーファーのPW-A38の推薦箱である。
縦115cm、横83cm、奥行51cmであり、内寸容積は395Lである。
15インチなら少なくとも200~300Lは必要なんて言われていた時代であった。