ラージモニターにはやっぱり4インチダイアフラムのコンプレッションドライバーは必須だろう。
ホーン部には15インチダブルを振り回す腕力がないと音がまとまらない。
具体的には、全帯域のなかに弱い帯域があってはダメなのである。
全ての帯域のエネルギー感が揃っていて初めて生音の再現ができる。
スピーカーシステムのユニット構成というか選択はこうした観点から行わなければならない。
コンプレッションドライバーの優れている点は、その変換効率の高さである。
フェーズプラグとの間の狭い空間の空気をダイアフラムで叩く。
逃げ場のない空気にエネルギーがばっちり伝達される訳である。
これがドーム型とかその他のダイレクトラジエタータイプのユニットだと、ダイアフラム周囲の空気は自由な状態であり、これでは十分にエネルギーが伝わらない。
変換効率が低いことは、エネルギー感に満ちた音を提供できないという問題にとどまらない。
振動板の非常に微弱な振動が空気に十分に伝達されないということは、音のニュアンスを再現できない。
家庭内における音量では15インチダブルを振り回すことができるかどうかという問題よりも深刻である。
さらに指向性制御という問題もある。
ドーム型等は高域になるにつれ指向性が狭まりビーム状の音圧分布になる。
未だに解決されていない大問題なのだが、解決の糸口さえも見つからないので長年放置されたままである。
残念ながら真正面から取り組むメーカーは未だにあらわれない。
一方、ホーンでは指向性制御技術が大変な努力の末に確立されている。
一般のオーディオマニアはもはや体験する機会が無いだろうが、現代的なホーンの完成度は驚異的なレベルにあることは確かである。